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■コミュニティ財団

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」
 (千葉大学文学部社会学研究室
 『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より

 「コミュニティ財団」は普通の企業財団や個人財団とは異なり,それぞれ独立し
た多数の基金が一つの理事会・事務局を共有する財団で,小口の寄付でも基金を作
れることや,独自に財団を設立するような面倒な手続きがいらないことから,基金
を設置するだけで自分の財団を設置した場合と同様に社会貢献を実現できる。
 マンション型財団と呼ばれることもある。その構造があたかも一棟の高層住宅に
いろいろなタイプの家庭がおのおのの助成分野を表示した表札を掲げて居住してい
るようだからである。構造面からいうとマンション型財団,機能面からいうとコミ
ュニティ財団となる。地域社会の社会的ニーズのために資金を提供するからである
(出口[1994:39])。財団法人を作るには一般に3億円ほど必要だ(と言われてい
る──明文化された基準があるわけではない)が,この形をとると1000万円の規模
で基金を設けることができる。
 たとえ単独の財団はつくれなくても,この財団では(中小)企業や個人の寄付金
で基金が設置でき自分の財団を持てることになる。どういった分野・対象に支援・
助成するかは基金設置者で考えることが可能である。内部的な手続きは,現金・株
式・土地等の財産の寄付により基金が設置され,それを財団が管理運用し,収益を
助成活動に充てる,ということになる。
 日本では1991年11月に初めて財団法人「大阪コミュニティ財団」が設立された。

 この方法によって,より簡単に社会貢献ができるようになる。考えられるプログ
ラムとして,出口氏(サントリー文化財団事務局長)は,「銀婚式を迎える老夫婦
は記念に田中太郎夫妻という基金をつくって,地域の高齢のお年寄りにプレゼント
を」したり,「平成高校一期生は資金を出して平成高校から海外へ留学する人に留
学資金を支給」したり,あるいは「中小企業は環境保護のために毎年従業員の給与
の端数をためて,基金を積み増し」したりといった例をあげている(出口[1994:
40])。
 この形態の問題点として,まず当初資金の準備がある。財団法人の設立許可を受
けるには最初の段階で数億円の基本財産が必要とされる。大阪コミュニティ財団の
場合は大阪商工会議所が当初資金を提供したというが,そのような組織のないまっ
たくの普通の人々であったならどうであろうか。この点について,「アメリカのチ
ャールズ・モット財団は全米でも常に資金規模5位に入る超大型財団であるが,こ
の財団は世界のコミュニティ財団設立を支援するプログラムをもっている。したが
って,コミュニティ財団のさまざまなノウハウばかりではなく,当初の資金も助成
金として提供してくれる」と,出口氏はひとつの解決策を提示している(出口
[1994:42])。
 また基金の内容が充実したものになるかどうか。大阪コミュニティ財団の場合は
企業や人の志に期待した。結果として「基金の内容は実に多種多様である」と出口
氏は述べている。ただ,従来から温めていた計画とか,NPOの現実などに関心が
ないと,「お金をだして設置したのはいいが何をやっていいかわからない。しかた
なくふだん目にするような助成にした」ということになってしまうこともあると思
う。行政や助成団体の手の回らない,ユニークな部分に支援できるのがコミュニテ
ィ財団の本旨であるのならば,基金内容の充実にはじっくり取り組んでしかるべき
である。そういった相談に応じられるようなところがあるとよいと思う。

★ コミュニティ財団についての文献として大阪商工会議所による調査報告(大阪
商工会議所[1992]),出口[1994]。他に,経済団体連合会編[1992:317-319],
東京都企画審議室[1993:180-184],『労働と経営』1994.3月号で言及されてい
る。

  ◆大阪コミュニティ財団
  ◆NPO・ボランティア

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